FC2ブログ

初心

宝珠克己

-
5年前の10月6日の早朝、熟睡しているところを電話のベルで起こされました。
こんな早くに何事?と思って出ると商店街の和菓子屋さんからでした。

電話のバックは、やたらと騒がしく、人の声がガヤガヤとかなりうるさい。
「フクヤさん!お店が火事!!」耳を疑いたくなるような言葉が受話器から飛び込んできました。

思わず出た言葉が、「え~~!火元はうちですか?」
店にはガスは引いていないから漏電か?
逸る心を抑えて話を聞くと、4件隣のパン屋さんがフラパンを揚げているとき出火して、燃え広がったとういことでした。

店に駆けつけたときには、懸命の消火活動にもかかわらず、まだ2階の窓から炎が噴き出していました。
旧店舗が道路の予定地にかかり、やっとの思いでこの地に移転して4年。さあこれからというときのまさかの火災でした。





鎮火後現場検証に立ち会い、店内に入りました。1階は、石膏ボードでガードされさほど燃えていなかったのですが、商品は水浸し。

kaji4.jpg


2階は、大屋根が焼け落ちて空が見えていました。
kaji3.jpg




少し落ち着いてから、火災に遭い休業する旨、DMでお客様にお伝えいたしました。(虫の知らせか火災の2日前に顧客名簿をCDにバックアップしたところでした。)

DMを出させていただいたお客様からは、励ましのお電話のほかに、「こんな靴無い?」とご注文のお電話もチョコチョコいただきました。
火災を知らずにご来店していただいた方には、商店街の近所のお店の方が、私の携帯へ連絡してくださったり、ご注文を取り次いだりしていただきました。
問屋さんやメーカーさんに商品を手配してもらって、お客様のご自宅に訪問したり、駅で待ち合わせたり、商店街のお店の店先や2階をお借りしフィッティングしたり、週のうち3・4回は、仕事をいただくことが出来ました。

店がなくなって、こちらから自分の足でお客様のご自宅に伺い、こんなに遠くからわざわざお越しいただいていたのかと、初めて実感として気付かされました。

店舗が無く商品を十分に見ることもできないのに、ご注文をいただいたお客様、あのときほど心底ありがたいと思ったことはありませんでした。
またお客様との待ち合わせのとき、いやな顔ひとつせず店先を気安く貸してくださったり、ご注文を取り次いでくれたサンスーク花園の皆さん本当にお世話になりました。

当たり前と思っているものがなくなると、いろんなことに気付かされるのですね。

再開まで8ヶ月かかりましたが、人のやさしさと人情が身にしみた、得がたい8ヶ月でした。




関連記事
Posted by宝珠克己